2011年01月06日
江戸っ子の正月・・・散歩とゴロ寝

江戸庶民の正月は、これからの一年をつつがなく過ごすための充電休暇だった。
だからもっぱら寝正月。「骨休め」と称した。のんびりゆったりくつろいで、
家の中でゴロゴロしたり、外へ出てプラプラしたりした。
ことに年明けの日は、初日のお天道様から、まっさらな一年の清く良い「気」が
地に降りそそぐから、天に向かって体を開いていれば、それを満身に受けることによって
丈夫な一年が過ごせると信じられた。
部屋ではコタツに足つっこんで仰向けでゴロ寝、路では空を仰いで散歩(当時は車の往来が無いから安心)
したものだ。
年礼に正装し、忙しく駆け回るのは、上司のご機嫌伺いの武士と、お得意様を繋ぎ止めたい商人ばかりで、
大方は小正月までは絶対休暇のバケーション、のどかな初春を謳歌した。
万事がおめでたい正月ならではの、おもしろい民間慣習のひとつは、
忌みことばだろう。せっかく新品の春だから、すこしでも縁起の悪い言葉は、なるべくなら控えたいと、
江戸らしい洒落っ気が発揮された。たとえば・・・
「割れる(皿や小鉢)」→「増える」
「くたくたにくたびれる」→「たくさん儲ける」
「損をした(予定外の出費)」→「咲かす(咲く)」
「出て行く(去る)」→「参る」などなど・・・
また、何もかもに「初」のつく新年は、旧年の免罪符。だからこそ毎年待ち遠しい。