2010年11月06日

江戸庶民の住宅事情・・・

東京は、全国で最も「賃貸住宅利用者」の多い地区なのだそうです。つまり、最も持ち家の所有率の

低い地区でもあるわけですが、不況のあおりで、下がったとはいえ都心の地価を思えば、

当然のことです。善良な市民が庭付き一戸建てを所有しようとしたら、

都心から二時間ははなれなくてはなりません。すなわちそこは、都下近県となります。

一方、おおよその目安として、3LDKの分譲マンションなら勘定八号線の外輪に、

2LDKの賃貸なら山手線の三キロ以上外側に求めることができ、それより都心は、

ワンルーム賃貸の地域となるようです。

江戸の庶民(町人)の八割は、このワンルーム派でした。

江戸の場合、地価というより、所有権が、全て徳川将軍家にありましたので、

幕府の都合の良いように町割りされており、優先順位がありました。

大名屋敷→旗本、御家人の屋敷→社寺地→町屋

占有面積からいえば

江戸の60%が武家地、20%が社寺地、残りの

20%が町屋となり、華やかな繁栄で知られる

江戸「八百八町」は、実は非常に狭い範囲であった事がわかります。

しかも、その残りの20%も、大店・町名主・庄屋などの一部の実力者が独占していたので、

当然、庶民は、賃貸するしか無かったのです。

しかしながら、江戸のワンルーム、別名「九尺二間の裏長屋」は、江戸っ子たちの生活の原点です。

長屋の生活は外へ向かって開かれており、街全体が住人すべてにとってのひとつの

居住空間となっていました。長屋の壁は薄く、隣の物音ばかりか、

おかずの匂いまで筒抜けでした。

「椀と箸を持ってきやれと壁をぶち」という古川柳がありますが、

長屋暮らしの助け合いと人情を感じさせてくれますね~

狭いながらも、楽しい”長~屋~”(我が家)てな感じでしょうか・・・

江戸庶民の住宅事情・・・
江戸庶民の住宅事情・・・

江戸庶民の住宅事情・・・   

江戸庶民の住宅事情・・・

一般的な裏長屋・家賃400文~500文
江戸っ子をはじめ殆どの江戸人が利用・・・職業例:棒手振り・細工職人
九尺二間(くしゃくにけん)
間口:九尺=約2.72m
奥行:二間=約3.62m
三坪(9.9㎡) 畳部分は4.5畳
よく言われる長屋の広さ。

その他の例
*表店(十坪・店舗付33㎡~)家賃2000文~・・・利用者例:小商人・居酒屋・小料理屋
 ・間取り4.5畳+4畳+台所+店舗9.9㎡付
 ・大通りに面している
 ・二世帯可?
 
*広い部屋(六坪19.8㎡~)家賃1000文~・・・利用者例:職人(大工・左官)・手習い教室など
 ・6畳+2畳+板の間+台所
 ・勝手口有り(二面採光)、広い土間付き

これより狭いものも、広いもの、2階付きもありました。
棟割り長屋は3方が壁。隣の音は聞こえプライバシーはありません。
また、あいつぐ火災のため庶民には持ち家志向はなかったとも言われています。
武家をはじめ、家主は、家主でいろいろと大変だったのでしょう・・・


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この記事へのコメント
は~。

全部読んだ!

ここに、何人くらい住むの?
家族全員?

おばあちゃんとか、
子供もいるでしょ??
Posted by 万里万里 at 2010年11月06日 13:29
万里さん

ほほほ、全部読んでくださり、ありがとうございます。
家族構成や収入で、若干違いますが、
江戸っ子だと家族全員(平均5~6人)ですかね、
江戸っ子は、お金持ってないんで・・・
(働かないから、自業自得・家賃滞納もあたり前・・・)
職人さんや商人(番頭さんクラス)は、広い部屋にしたり
じいさん、ばあさんに部屋を借りてあげてた人もいたみたいです。
Posted by Kazu at 2010年11月06日 13:53
四畳半に

5~6人?
お布団が敷ききれない!
Posted by 万里万里 at 2010年11月06日 14:17
今の東京は昔のお江戸から引き続いて住宅関連では解決していない
大きな問題を抱えている事は確かなようです。ワンルームマンションを
数多く建てると区の財政を圧迫してしまうとか、色々な不都合な問題が
多くある事に気付きます。これも多くの人の考え方が偏っているからと
同時に同じ考えになびいているからこそ同じ物に集中する顕著な例と
思って良いのだと思います。それにもまして街を条例で縛っているので
かなり身動きが取れないのが現状ではないでしょうか…!?

生活の在り方が問われるのはこのあたりだと思います。
Posted by ふじのおやまのヒデふじのおやまのヒデ at 2010年11月06日 14:42
万里さん
>お布団が敷ききれないそうです狭くて敷けません。当時布団は、たいへん高価だったので、せいぜい夫婦の2組分、
夏は雑魚寝
冬は家族みんな重なり合って寝ていたそうですよ
Posted by かず at 2010年11月06日 15:09
ヒデさん
ご意見、ありがとうございます。
>街を条例で縛っている…
江戸では、そういう政策は、必ず失敗してますね。江戸の三大改革がいい例です。
Posted by かず at 2010年11月06日 15:19
昨日はお出掛けしていたのですが、パパさんがお買い物中に待ち時間ができて・・・ゆ~っくり読ませていただきました(*^о^*)「へ~」「ほ~」って感心しちゃいましたよ!
いつの世も特権階級やお金持ちはいい思いをしますが、庶民は限られた中で少しでも快適に生活を送れるようにと奔走しているのですね。
 一見不憫にも思えますが、その分知恵も働くし新しい発見もあるし、それなりの楽しみみたいなものが工夫の中から生まれるのかもしれませんね。
人間って、ほどほど衣食住が満たされた生活が一番幸せを感じるような気がします。特に、私みたいな庶民はお金を上手くコントロールできないのです。
どんな豪華な衣食住に恵まれたとしても欲は尽きないし・・・。なのに、自分で努力する気持ちは薄れてきます。少し貧乏くらい、少し物足りないくらいが私にはちょうどいいのかも~(*^-^)ノ
なーんて考えちゃいました♪あれれ?江戸の話かかけ離れちゃいました?
Posted by FumyFumy at 2010年11月07日 06:43
Fumyさん

ありがとうございます。

幸せの基準は、その人によって違います。

人生の楽しみ方も、またしかり、人それぞれですね、

兎にも角にも、私達が、生きている今は、自由です。

考える事も、行動することも、その人しだいです。

江戸の昔は、それが出来なかった・・・

武士も庶民も決められた事に忠実に生きるしかなかった・・・

その事を思うと、私達現代人が、いかに幸せであるか・・・

な~んて、ついつい考えてしまうのです。(おかしいですね)
Posted by かずかず at 2010年11月07日 11:09
いやー、力作ですね
毎日すごい記事で埋め尽くされていてびっくりです
論文として発表できますよ
Posted by ゴンベゴンベ at 2010年11月08日 20:29
ゴンベさん

ありがとうございます。

わたしは、江戸の事を書いているときが、

一番、幸せなのです。(ただのマニアですけど・・・)
Posted by かずかず at 2010年11月08日 22:42
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    コメント(10)