江戸っ子の正月・・・散歩とゴロ寝

かず

2011年01月06日 06:46



江戸庶民の正月は、これからの一年をつつがなく過ごすための充電休暇だった。

だからもっぱら寝正月。「骨休め」と称した。のんびりゆったりくつろいで、

家の中でゴロゴロしたり、外へ出てプラプラしたりした。

ことに年明けの日は、初日のお天道様から、まっさらな一年の清く良い「気」が

地に降りそそぐから、天に向かって体を開いていれば、それを満身に受けることによって

丈夫な一年が過ごせると信じられた。

部屋ではコタツに足つっこんで仰向けでゴロ寝、路では空を仰いで散歩(当時は車の往来が無いから安心)

したものだ。

年礼に正装し、忙しく駆け回るのは、上司のご機嫌伺いの武士と、お得意様を繋ぎ止めたい商人ばかりで、

大方は小正月までは絶対休暇のバケーション、のどかな初春を謳歌した。

 万事がおめでたい正月ならではの、おもしろい民間慣習のひとつは、

忌みことばだろう。せっかく新品の春だから、すこしでも縁起の悪い言葉は、なるべくなら控えたいと、

江戸らしい洒落っ気が発揮された。たとえば・・・

「割れる(皿や小鉢)」→「増える」

「くたくたにくたびれる」→「たくさん儲ける」

「損をした(予定外の出費)」→「咲かす(咲く)」

「出て行く(去る)」→「参る」などなど・・・

また、何もかもに「初」のつく新年は、旧年の免罪符。だからこそ毎年待ち遠しい。

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