東京は、全国で最も「賃貸住宅利用者」の多い地区なのだそうです。つまり、最も持ち家の所有率の
低い地区でもあるわけですが、不況のあおりで、下がったとはいえ都心の地価を思えば、
当然のことです。善良な市民が庭付き一戸建てを所有しようとしたら、
都心から二時間ははなれなくてはなりません。すなわちそこは、都下近県となります。
一方、おおよその目安として、3LDKの分譲マンションなら勘定八号線の外輪に、
2LDKの賃貸なら山手線の三キロ以上外側に求めることができ、それより都心は、
ワンルーム賃貸の地域となるようです。
江戸の庶民(町人)の八割は、このワンルーム派でした。
江戸の場合、地価というより、所有権が、全て徳川将軍家にありましたので、
幕府の都合の良いように町割りされており、優先順位がありました。
大名屋敷→旗本、御家人の屋敷→社寺地→町屋
占有面積からいえば
江戸の60%が武家地、20%が社寺地、残りの
20%が町屋となり、華やかな繁栄で知られる
江戸「八百八町」は、実は非常に狭い範囲であった事がわかります。
しかも、その残りの20%も、大店・町名主・庄屋などの一部の実力者が独占していたので、
当然、庶民は、賃貸するしか無かったのです。
しかしながら、江戸のワンルーム、別名「九尺二間の裏長屋」は、江戸っ子たちの生活の原点です。
長屋の生活は外へ向かって開かれており、街全体が住人すべてにとってのひとつの
居住空間となっていました。長屋の壁は薄く、隣の物音ばかりか、
おかずの匂いまで筒抜けでした。
「椀と箸を持ってきやれと壁をぶち」という古川柳がありますが、
長屋暮らしの助け合いと人情を感じさせてくれますね~
狭いながらも、楽しい”長~屋~”(我が家)てな感じでしょうか・・・
一般的な裏長屋・家賃400文~500文
江戸っ子をはじめ殆どの江戸人が利用・・・職業例:棒手振り・細工職人
九尺二間(くしゃくにけん)
間口:九尺=約2.72m
奥行:二間=約3.62m
三坪(9.9㎡) 畳部分は4.5畳
よく言われる長屋の広さ。
その他の例
*表店(十坪・店舗付33㎡~)家賃2000文~・・・利用者例:小商人・居酒屋・小料理屋
・間取り4.5畳+4畳+台所+店舗9.9㎡付
・大通りに面している
・二世帯可?
*広い部屋(六坪19.8㎡~)家賃1000文~・・・利用者例:職人(大工・左官)・手習い教室など
・6畳+2畳+板の間+台所
・勝手口有り(二面採光)、広い土間付き
これより狭いものも、広いもの、2階付きもありました。
棟割り長屋は3方が壁。隣の音は聞こえプライバシーはありません。
また、あいつぐ火災のため庶民には持ち家志向はなかったとも言われています。
武家をはじめ、家主は、家主でいろいろと大変だったのでしょう・・・