砂糖・・・おはようございます。
生薬屋(きぐすりや)つぼから出して泣きやませ (江戸川柳)
この句は、薬屋さんの店先のスナップ。薬好きの子供はいない。
とかく良薬口に苦しで、いやいやをしている。が、薬屋さんが、つぼからあるものを
ひとつつまみ出したとたん、泣く子もだまり、飲む気になった。
その、あるものとは、砂糖である。
江戸の頃、砂糖は薬屋でうられていた。かつては、病気にでもならなければ嘗められぬ貴重品で、
体力の衰えたものに服用させる薬であった。
庶民にとって、甘いものといえば、蜂蜜、干した果実、麦もやしを煮詰めた麦芽糖(水飴)
甘藷(サツマイモ)、甘粕くらいのもので、砂糖は高嶺の花だった。
江戸期の料理本には、「甘味」に「うまみ」とカナがふってある。甘いイコールうまい
という感覚であり、なべて甘味は不老不死の仙薬と信じられていた。
(by杉浦日向子さん・・・大江戸美味草紙より)
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