前々回のブログで、「次回は、大食いの・・・」という事を書いたのですが、
江戸の大食いは、殆どフィクションで、笑い話です。(と学者さん達が、言っております)
実際、「万八楼」という料理屋でおこなわれた、大飲み大食大会での記録は、あまりにもデタラメで
信じ難いものばかり、酒を一斗九升五合(35ℓ)飲んだとか、ご飯六十八杯を醤油を二合かけて食べたとか
饅頭五十個+羊羹七本+薄皮餅三十五個にお茶十七杯とか・・・聞いてるだけで、気持ち悪くなるもの
ばかりで、正直信じられません・・・おもしろい話ではあるので・・・私個人的には好きなのですが・・・
江戸の通人のプライドを傷つけてしまう気がしてちょっと後回しにさせて頂きます。
本来は、江戸人と言えば、味に関しては繊細で淡白なものを、好んだといいます。
そこに、「粋」という独特のこだわりが加わって江戸の食文化をつくりだしていったのでしょう
私のように科学調味料に慣れてしまい、ビックマックが大好きなんて言ってしまう人間に
江戸の食文化を語る資格は、無いのかもしれませんがね・・・そこは許していただいて
まずは、江戸人の味覚について追って行きたいと思います。
その為には、江戸人の舌を手にいれなくてはいけません・・・
「江戸の三白」って御存知ですか、豆腐・大根・白米に集約され、ほかに鯛と白魚を加えて
「五白」なんて言ったりもします。共通するのは、淡白でデリケートな味わい
これら「白」を制覇できれば、江戸一流の食通になれるそうなんですが、
あいにく、私の舌は、あまりにも「欧化」されていて、ソースやスパイスを使って
味のハーモニーを楽しむ事はできても、素材の奥行きそのものを堪能することには慣れていません。
そこで、一週間、「調味料断ち」をためします。(例えばの話ですよ・・・)
調味料断ちとは、化学調味料、スパイス、ソースをいっさい使わず、塩味(天然のものに限る)
だけで物を食べます。するとアラ不思議、お米の銘柄ちがい、豆腐の豆の香り、大根の産地の違い
など、今まで気がつかなかったことが、わずかながら解ってくると言います。
(以前、TVで野菜ソムリエの方が、言ってました・・・)
これが、「江戸人の舌」なのだと思います。
・・・一流の食通になるのは、大変ですね、私にはちょっと無理かも・・・です。
また、江戸人にとって「料理」とは特殊なもので、毎日の「おかず」とは違うものでした。
つまり「空腹を満たす」とか「栄養をとる」ということとは無縁で、
料理、すなわちこれ「風流」だったのです。生存の為のエネルギー摂取は「菜肴」といって
料理とは別だったと言います。
「料理」といえば、「お茶を点てる」とか、「花を生ける」とかと同等の「趣味」であった
わけですね・・・「舌で解する風流」・・・大食の私とは、まったく無縁ではありますが、
まずは、「三白」から挑戦していきましょう・・・
というわけで次回は、豆腐のお話し(今度は、ちゃんとしま~す・・・)