最近、男性のお化粧やお洒落に対する関心が高まっているようであります・・・
顔じゃないよ心だよ、とは長い間言われてきた男性に関する美意識ですが、
それでもやっぱり女の子はメンクイです。見目うるわしく、気立ての良い殿方であれば、
これに越したことはありません。
江戸は本来「武都」すなわち男の都で、当初は女性が大変少ない所でした。
後期には、男女の人口比は解消されましたが、
上流階級の男性が複数の女性を独占していたこともあり、
一般の間には、生涯独身の男性も少なくありませんでした。
そんなわけで、江戸では今以上に熱心に、女心を射止めるための努力がなされていたようです・・・!?
江戸でもてる男の理想像は、色白で細身の美男・・・当然お金持ち、
イメージとしては、歌舞伎の女形でしょうか、それとも細マッチョ・・・荒々しい江戸っ子には、難しい・・・
それでも、なんとかモテたいと思う人は、特技を身につけます。
今でもミュージシャンは女の子の憧れですが、
江戸の頃も唄がうまくて三味線の弾ける男の子がモテました。
音楽が苦手な人にはモノマネがあります。コンパなどで芸能人のモノマネをする男の子が
人気者になりますね。
江戸では、もっぱら歌舞伎役者のモノマネをしました。
ちょっと意外なのは、筋肉ムキムキのフトマッチョ系が江戸でもモテなかったことです。(今と同じ・・・)
「人力」が生活エネルギーだった江戸時代は、普通に暮らしていても、男のひとにはそうとうの筋肉が
ついていたし、町には褌一本で駆け回る肉体労働者も多かったので、ムキムキ肉体美には、
さほどの感動もなかったようです。
逆に色白のやさ男が希少価値としてもてはやされ、侠気が売りの博徒でさえ、真っ白なキズのない体を
自慢にしたといいます。(ちゃんとした博徒は、刺青をしてなかった)
こうして男の子たちは特技をならい覚え(こんな素人芸にしても各町内に稽古場ができた)
その上ファッションセンスや粋な会話を洒落本(当時の最先端スタイルブック件風俗小説件タウン情報誌)で研究しました。
江戸というと、とかく献身的な女性の姿が強調されますが、その女性を獲得するための並々ならぬ
努力についてはあまり語られていません。
女性にモテた江戸の男性が、同胞に授けた極意とは・・・
「惚れられようとはゆめゆめ思うな、嫌われぬことだけに専念せよ」・・・
なんともけなげでいじらしい男心です。