2010年11月13日

江戸のお金・・・一両っていくら?

江戸のお金・・・一両っていくら?江戸のお金・・・一両っていくら?

おはようございます。

よく、江戸時代の一文銭や一両小判は今のどれくらいの価値があったのかと聞かれます・・・

・・・ウソです・・・聞かれません・・・

ホントは、私が、気になるだけです。

調べても、調べても、今でも、はっきりしません

とても気になります・・・とっても、とっても・・・

ですので「大食い」の前に、江戸のお金のお話を・・・

前回のブログで、一両二分を20万円以上と書きましたが、実際はわかりません。

いろいろな文献を見ても、それぞれで、一両の価値が違います。

ある歴史学者さんは、一両を20万円と言い、ある時代小説家さんは、一両を10万円と言う

6万円と言う方もいれば、30万円と言う方もいます・・・50万だと言う方まで・・・

実際、一口に一文が何円、一両が何円とは答えられません。 それには次のような理由があります。
  
(1)江戸時代は、金貨、銀貨、銭貨の3種類の貨幣が共存していて、それらが別々の相場でした。
   まるで一つの国の中に、ドルと円とルピアがあるようなものです。

(2)江戸時代は270年近くあります。元禄の改鋳を初め、貨幣の品質が260年間でだんだん
低下していきました。品質が下がると、当然物価は上昇します。

(3)現在より、保存と輸送に費用がかかる時代でした。飢饉になれば物価は高騰します。
場所や季節による価格差も今以上に顕著でした。

(4)現在と、物やサービスの価値が大きく異なります。一般に米や調味料などの専売品は
今より高く、それ以外の食品(野菜や魚など)・生活雑貨・賃金・土地は
今より安かったようです。

そこで、私は私なりに色々調べて、勝手に一両の価値を現在の15万円としました。
(あくまでも、私が、楽しむために決めた価値なので、誤解しないでください・・・)

理由は以下のとおりです。  
化政年間(1804~29)の物価を調べる、・・・(化政年間とは、文化・文政の総称)

米や調味料を基準にすると、1文=5円~25円、1両=3万円~15万円
労賃やその他生活必需品を基準にすると、1文=25円~50円、1両=15万円~30万円
 
間をとって一両15万円(結構単純でしたね・・・おゆるしを・・・)

3種類の貨幣も
金1両(15万円)=銀60匁(1匁2500円)=銭6000文(1文25円)
*わかりやすくする為です、実際は、化政年間・1804~29で一両=60匁~65匁=6000文~7000文
(ちなみに化政年間は、江戸時代をとおして物価や相場が、一番安定していたとされてます)

調べてみた化政期の物価と人件費の例
米 8合(1.2kg)=100文
みそ 1貫(3.75kg)=160文
お茶 中級1斤(750g)=550~580文
飲み水 きれいな水1荷(約20リットル?)=150文
塩 1升(1.5kg)=16文
握りずし 1貫=8文
すいか 38文
そば(もり、かけ) 16文
居酒屋の湯豆腐 8文
なす 10個=5~10文
大工さんの日当 銀5.5 ~ 6匁
棒手振商人の一日の儲け400~500文  
あんま 48文
駕籠代 1里(4km)=300~400文
医者初診料 銀10~15匁
歌舞伎入場料 桟敷席=銀35匁
町奉行所同心の年収 30俵2人扶持(金14両)+付届け(年間50両~200両?くらい)
町奉行所与力の年収 200表(金約70両)+付届け
(ちなみに町与力の付け届けは、実力にもよるがだいたい年間で500両くらいはあったそうで
古参の実力者の中には3000両あった者もいたと言われている、さすが江戸の三男の一人です)
*3000両は、一万石の大名家の江戸での生活費の約5倍・・・
*付届けとは 謝礼・依頼・義理などのため贈り物をすることで、賄賂とは違います

最後に越後屋呉服店の売り上げ

越後屋呉服店と言えば現金商売掛値無しや切り売り商売で有名ですが
現在でいうユニクロやシマムラのような存在でしょうか(御用商をせず庶民向け呉服店だった)
三井越後屋江戸本店の売上高は、1745年には1日銭272万2700文とあり
金にして、450両以上、年間350日の営業としても、15万7500両・・・
私の勝手な換算方法でも、年商236億円・・・すごい・・・
いや、当時の江戸幕府の年間支出が約150万両で、その10分の1・・・
現在の日本の国家予算が約90兆円ですから9兆円と考えるほうが良いのかも・・・
って、おおげさでした・・・

またまた、長くなってしまいました・・・すみません・・・では、また・・・




参考文献
山本博文、「江戸時代を探検する」文藝春秋、1996
興津要、 「大江戸商売ばなし」PHP文庫、1997
中江克巳、「江戸時代に生きたなら」廣済堂出版、1993
三好一光、「江戸生業物価事典」青蛙社、2002
小沢詠美子、「お江戸の経済事情」東京堂出版、2002

その他、時代小説多数・・・(司馬遼太郎・池波正太郎・柴田錬三郎・佐藤雅美など)


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この記事へのコメント
おはようございます。

ほんとにくわしいんですね~。

勉強になりました。
Posted by バドバド at 2010年11月13日 07:28
バドさん

おはようございます。

好きなだけです。今日は、短くしよ、簡単にしよ

と思っていても、だめです・・・

オタクの域を超えて、ほとんど病気です・・・
Posted by かずかず at 2010年11月13日 08:24
前々から一両っていくらなんだろうと思ってました

すごい研究ですねー

ホントに本が出せますよ
Posted by ゴンベ at 2010年11月13日 08:48
頭の中が、グチャグチャ!!

すごいなー。
大感服!

好きなのねーお江戸!

ところで、ダイエット、また始めたの?
Posted by 万里万里 at 2010年11月13日 09:16
ゴンベさん

そうですか~一両に興味ありましたか~

嬉しいです。・・・本は、無理です・・・

文章めちゃくちゃですし、古文書からの研究では、ないので・・・

結構適当です。でも嬉しいです。ありがとうございます。
Posted by かず at 2010年11月13日 09:40
万里さん

そうなんです~

最近、忘年会やら旅館さんの試泊やらで、暴飲・暴食・・・

一昨日から、ハードにやってます。
Posted by かず at 2010年11月13日 09:44
昔、よく時代劇観てたんですが越後屋さんは〝エロ爺〟ってイメージです(*^о^*)あっ、そんな事言いたかったんじゃありません。お代官様に菓子折りを納めるでしょ。饅頭の下にある小判の山!
1両は1万円!って勝手にイメージしてました (>_<)15万円と仮定しても凄い金額ですよね!もっと早く知ってればよかったです。
それにしてもかずさん、江戸博士ですね!
今度、本棚見せてくださいm(_ _)m
Posted by FumyFumy at 2010年11月13日 21:41
Fumyさん

「越後屋、お主も悪よの~」ってやつですね・・・

当時、そういう事をして、店を繁盛させた商人もたくさんいたと

思います。(越後屋という屋号もたくさんあったのでは・・・)

この、越後屋は、現在の三越の元になったお店で、そういう事を

一切しなかった事でも有名なんですよ。

そうそう、前回のブログで八百善を紹介しましたが、

たしか、三越デパートでも、八百善のお惣菜が買えたと思います。

福岡三越に行く機会があったら、聞いてみてください・・・

あくまでも、聞くだけですよ、値段が、いくらするか解りませんので・・・

実家の本棚・・・機会があればお見せします・・・

「ドン引きしないでくださいね・・・(汗」
Posted by かず at 2010年11月14日 06:02
蔵書見たいですねー

何冊くらい持っているのですか?
Posted by こうちゃん at 2010年11月15日 07:06
こうちゃん
>何冊くらい持っているのですか?

数えた事無いですが、
100は、あると思います。7割くらいは、時代小説ですが…
Posted by かず at 2010年11月15日 12:19
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